作家・佐藤愛子さんの訃報に接し、心よりお悔やみを申し上げます。
私にとって佐藤愛子さんは、単なる「著名な作家」という以上に、
読書の楽しさを教えてくれた恩人であり、そしてわが街・青森に深いルーツを持つ、
勝手に親近感を抱いてきた存在でした。
1. 青森の血を引く作家として
佐藤愛子さんのお父様は、作家の佐藤紅緑。紅緑は青森県弘前市の出身です。
また、詩人のサトウ・ハチローさんもお兄様にあたります。
佐藤愛子さんの作品に見られる、あの竹を割ったような潔さや、
ユーモアの中にある芯の強さは、どこか青森県人の気質にも通じるものがあるのではないかと、県民の一人として感じてきました。
2. 少年ドラマシリーズと『困ったなア』
私が佐藤愛子さんの作品と出会ったのは、NHKの「少年ドラマシリーズ」でした。 当時、あの番組を欠かさず見ていたファンなら、ドラマ版の『困ったなア』を覚えている方も多いのではないでしょうか。
「ドラマがこんなに面白いなら、原作も絶対に読みたい!」 そう思って、すぐに本屋さんに走りました。
3. 昭和51年の初版、原田治さんの表紙
今、私の手元にはその時に手にした一冊があります。
表紙は、今や伝説的なイラストレーター、原田治さんによるもの。
主人公の田村桃子が、野口五郎さんの写真が載った雑誌「GORO」を手にしている姿が、
時代を感じさせて実に愛らしいです。
この一冊を手に、野口五郎さんに憧れる桃子の物語に夢中になったあの日が、
昨日のことのように思い出されます。
『困ったなア』の紹介ページには、こう書かれています。 「田村桃子は、T中学の一年生になったばかり。……野口五郎と結婚することを夢みている。」
背伸びしたい年頃の、あのちょっとした「困ったなあ」という感情を、
佐藤愛子さんは本当に魅力的に描いてくださいました。
激動の時代を駆け抜け、最後まで現役を貫かれた佐藤愛子さん。
いただいた作品と言葉は、これからも大切に読み継いでいきたいと思います。
素晴らしい物語を、本当にありがとうございました。



